蚊から感染するフィラリア症
毎年のことですが、いつ頃に薬を飲ませるか忘れがち。。。
簡単な目安
それは蚊の生息期間から推定する方法です
関東では、おおよそ4月から11月です
なので大体の予防期間は、5月から12月です
もう少し、具体的な根拠は?
一応、HDU(Heartworm Development heat Unit)というものがあり、
最高気温・最低気温からフィラリアの感染可能期間を推定することが出来ます
この指標は、多くの団体で支持されています
感染スタート:1月1日から加算して130を超えた日
感染終了:直近30日の合算が130を下回った日
当院もこのデータを指標に予防期間を設定しています
当院がある印西市には公的な気象観測所がないため、
気象庁の過去のデータが参照できる近隣(成田市・佐倉市)をもとに算出しています
目安の130を赤線にしています
感染スタート
佐倉市のデータ(2016〜2022年):5月14日〜25日
成田市のデータ(2008年から2022年):5月17日〜6月7日
佐倉市・成田市いずれも早いと5月中旬から感染が成立する可能性が高いという結果です
すこし余裕を持って、5月はじめに感染することも想定しても
薬を飲ませるのは、5月下旬から6月でOKです
感染収束
佐倉市:10月23日から10月31日
成田市:10月23日から11月2日
余裕を持って、10月末から11月はじめに感染終了とすると、
薬を飲ませるのは、12月はじめでOK
ということで、フィラリア症の予防期間は、
スタート:5月下旬から6月
終わり :12月
でも、なぜ感染期間から予防期間を1ヶ月くらい後ろにずらすか知っていますか?
フィラリア虫は、何度か脱皮を繰り返し、成虫となります
脱皮の度に少しずつ体が変わるので、薬への感受性(効きやすさ)も変わります
感染したフィラリア虫(L3)は、蚊の吸血と一緒に犬の体内へ
体内に侵入した虫は、だいたい7日前後で、体内移行ができる状態へ(L4)
この状態はおおよそ1.5ヶ月続きます
フィラリアの予防薬は、どの時点で効くかと言うと
薬の特徴から感染してスグ(L3)ではなく、犬の体内で一度脱皮した虫(L4)に特に有効です
図でいうとココ↓
ということは、「予防薬」ではなく、「駆除薬」ですね
そうなんです。フィラリア症の予防薬には「予防効果」はありません
体内に侵入したフィラリア虫を、血管内に入る前に「駆虫・駆除」する薬です
体内に侵入した虫を駆除しているので、
投与期間は、感染期間よりも少し後ろにズレるんですね〜
なぜ「予防薬」なんでしょうか?
きちんと表記すると、フィラリア症予防薬といいます
フィラリア症という病気は、フィラリア成虫が心臓や肺動脈に寄生することで生じる
一連の循環器障害を指しています
この循環器障害を予防する薬なので、フィラリア症「予防薬」なんですね〜
フィラリアの検査について
これは別のコラムでまとめてあるので、こちらへ
お薬の特徴は別のコラムを作成中です!