コラムColumn
予防

フィラリア症の検査時期について

今回は、フィラリア症の検査について。

当院では5月から6月の間に検査をしていただいています。
もしかしたら、ほかの病院よりも少し遅いかもしれません。
院長なりの理由があるので、お付き合いいただけると幸いです。

理由1;印旛村周辺ではフィラリア症が存在する
予防薬を飲ませていない、飲ませ忘れたなどの理由でフィラリア症になってしまう犬を見ています。
フィラリア症は、フィラリアの子虫を持っている蚊に吸血さることで感染します。蚊の中にいる子虫は、感染犬を吸血することで蚊の体内に侵入します。
つまり、フィラリア症のリスクは、その犬の周囲に感染している犬がいるかどうかでかなり変わってきてしまいます。

フィラリアメリアル
メリアルジャパンHPより
https://n-d-f.com/filaria/

理由2;予防薬投与前には検査した方が安全
感染している犬(正確にはミクロフィラリアがいる犬)に予防薬を飲ませると、アレルギー反応をおこして命にかかわることがあります。予防を始める前には検査が必要です。

Q;先代の犬は検査なんかしてなかったけど?
A;20-30年くらい前、犬フィラリア症検査といえば採血した血液を直接顕微鏡で覗いたり、フィルターをとおしてミクロフィラリアを見つける検査が主流でした。この検査、費用が掛からなくてよいのですが、検出率が悪い。検出率は数十%程度だったと思います。この検出率の問題で検査なしの時期があったと思います。
現在利用されている抗原検査は検出率が高く、ミクロフィラリアが出現していなくても検出することができます。上記の理由から、予防を始める前には検査をした方がよいと考えています。

検査結果の違い

理由3;確実な検査をするためにはタイミングが重要
抗体検査キットを使用することで検出率が良くなりましたが、検査にはタイミングが重要です。
多くの検査キットは、フィラリア成虫の体液を検出するタイプが一般的です。子虫感染後、多くの場合6カ月で成虫に成長します。
つまり、感染後6か月経過した後でなければ、検出率が悪くなってしまうということです。

フィラリア終息時期フィラリア症の感染リスクは、おおむね外気温で判断することができます。
HDU(Heartworm Development heat Unit)についてはこちらを参照
https://filaria.jp/html/hdu/index.html

検査時期
早い時期の検査

フィラリア症の多い地域(理由1)で、フィラリア症を確実に検出するために(理由2,3)、5-6月が検査するに適していると考えています。

<注>2020年から、新型コロナウイルス感染症対策(院内の密を防ぐ)のため、4月中の検査を行っています。対象は、昨年の予防を確実に行えた犬を対象にしています。
前述の通り、飲み忘れがあったり、薬を飲んだ後に嘔吐・下痢をしてしまった場合は、5-6月の検査の方が良いと考えています。

予防薬の使い方を変えることで、毎年の検査を回避する方法もありますので、診察時にご相談ください。