去勢手術とは
猫の去勢手術は、精巣を摘出する手術です。
発情時の行動を抑制してスプレーなどの問題行動や猫自身のストレスを軽減させる、そして望まぬ妊娠を防ぐことを目的として行われます。
手術の時期
当院ではオス猫の成長や性成熟などを考慮して5~6か月齢以降での手術をおススメしています。
オス猫の成長と性成熟
〇成長
5~6か月齢になるとほとんどのオス猫は体重が2㎏を超えて体格的にもしっか
りとしてきます。そこからも緩やかに成長し、生後12か月齢くらいで成猫になります(大型の猫種は1歳半頃)。
〇性成熟
オス猫の性成熟はメス猫に比較してやや遅く、生後6~9か月齢ごろには精巣が発達し、精巣内に精子が認められます。本格的な交尾が可能となる時期は生後9~12か月齢とされています。
オス猫は単独で発情することはありませんが、発情しているメス猫の声や匂いに反応して声を出したり外に出たがったりするようになります。
マウンティングやマーキングなどは生後5~6か月齢頃からはじまります。
こういった行為をできるだけさせたくない場合は行為が始まる前に手術を行う方が良いでしょう。
手術のメリット
望まない妊娠の予防
最近では屋内飼育が普及し、昔ほど去勢手術の主目的ではなくなってきましたが、まだまだ外飼いや室内飼いの場合でもお外に出てしまうという子も多くいます。
女の子だけでなく男の子もお外に出る場合は、去勢手術は必須と考えます。
※2015年4月1日施行の千葉県動物の愛護及び管理に関する条例によって猫の屋内飼育が努力義務となっています。
病気の予防
◯猫エイズウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの感染症リスクを低下させる
(交尾や縄張り争いによる喧嘩によって感染するため)
◯精巣腫瘍の予防
スプレー(マーキング)の防止、尿のにおい軽減
すでにスプレー行為が癖になっている場合は、去勢をしてもあまり変化が見られない可能性があります。できれば尿するプレーの始まる前に去勢手術を行えると良いでしょう。
未去勢オスのおしっこのにおいはなかなかに強烈です。去勢をすることで、メスや子猫くらいのにおいに軽減します。
問題行動の防止
攻撃性が減り、甘えん坊になる傾向にあります。
メス猫を探そうと家出したり、縄張りを争うための他のネコとのケンカが減ります。
手術のデメリット
全身麻酔のリスク
手術は麻酔前検査を行ったうえで実施可能と判断した場合に実施しています。
猫の去勢手術自体はごく短時間な手術(麻酔時間自体は約10分程度)で比較的リスクの低い手術ではありますが、全身麻酔には一定のリスクはあります(ごくごくわずかな確率ながら麻酔薬に対する過敏反応を起こす場合があります)。
太りやすくなる
これまで生殖に費やしていたエネルギーがなくなり、それに反して食欲は増す傾向にあります。
また、子猫の頃は毎日おうちで走り回っていた子がほとんど走らなくなるため去勢後はカロリー調整が必要になってくることが多いです。
遊びを増やしたり、フードの量や種類を 調整する工夫が必要となります。
手術の流れ
- ご予約前に一度ご来院(診察・手術についてのご説明)
- 手術当日: お預り⇒術前検査(胸部レントゲン・簡易血液検査)⇒手術(麻酔の導入から覚醒まで約10分)⇒お迎え
- 再診(傷のチェック): 7~10日後
費用
¥16,500(税込み)
- 手術費用には、術前検査(血液・胸部レントゲン検査)、麻酔、痛み止めの注射などがすべて含まれています。
- 中高齢の場合、術前の検査内容が変わってきます。追加で費用が発生します。
- 妊娠中の場合は別途費用がかかります。
Q and A
去勢手術直後はどう生活するの?
基本的には食事や運動など大きな制限はありません。
手術跡をなめたり汚したりしないようにお願いしています。
手術跡を気にする場合は、エリザベスカラー(貸出しあり)などを利用して1週間ほど生活します。
手術直後からほとんどの子が特に以前と変わりなく生活できます。
入院はする?
日帰り手術となります。
ペット保険は使える?
多くの保険で保険適応外の手術となります。
詳しくはご加入のペット保険にお問い合わせください。
耳カットできる?
猫ちゃんの飼育環境によって必要と判断した場合は、女の子は左耳・男の子は右耳をV字にカットできます。
ワクチン接種と同時に手術できる?
手術とワクチン接種は同時にはできません。
自治体での助成などはありますか?
印西市では地域猫に対する助成があります。